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人は死ぬ

DVDでコーエン兄弟の「ノーカントリー」観ました。
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トミー・リー・ジョーンズ, ハビエル・バルデム, ジョシュ・ブローリン, ウディ・ハレルソン, ジョエル・コーエン;イーサン・コーエン

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すごい緊迫感のまま最後まで観ました。

以下ネタバレあり。
殺し屋のシガーがやっぱり強烈でした。
どうしてもこないだ見た「ダークナイト」のジョーカーと比べてしまうのだけど、ジョーカーには不思議な人間らしさがあったのに比べてシガーはまさに死神。最初は殺すシーンもしっかり描かれるけど(牛を殺すように何の感慨も無く殺すところが怖い)後半はもう殺すシーンは省いてしまって、それでもただシガーが靴の裏を見る、という何てこと無い動きだけで人が死んだことが分かる。「ダークナイト」のジョーカーには「俺を認めてくれ」というような人間的な欲望が見えるんだけど、シガーにはそういうのは全く無い。息をするのと同じように人を殺す。
シガーは(シガーなりの)秩序の中で人々を殺していく、ある意味人々の想像上の死神のような存在なんだけど、現実には秩序や「こうあるべき」というものは無くて、たとえばモスが死ぬシーンは「こうあるべき」という流れであればシガーと対決して、ということになるんだろうけど、そうはならない。あっさり他のマフィアに殺されている。ヒーローであるべき保安官も何も手出しが出来ない。そしてシガーも青信号で車を走らせていたのに横から突っ込まれ、大怪我をする。
あっけない。予測がつかない。それが現実。

それにしても「死」にあふれた映画だった。死(というかシガーという死神)に直面した人たちの反応がとても怖かった。
死ぬのは怖い。でも人は死ぬ。
最後のトミー・リー・ジョーンズ演じる保安官が語る夢の話はアメリカのキリスト教的世界観とは違う、どちらかというと日本人にはなじみの深い死生観のような気がした。死んだあとには自分の死んだ親父があの世で待っているから怖がることはないんだ、と自分に言い聞かせているような、でも顔は今にも泣きそうな保安官に自分もあと20年ぐらいしたら共感するんだろうなと思いました。
| 2009.02.15 Sunday 11:25 | Movie | comments (0) | trackback (1) |

Comments

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Trackbacks

| jUNKERS' hIGH | 2009/02/16 06:18 PM
メイドちゃんの『ノーカントリー』の感想でラストの夢の話について書いてる部分、「なるほど〜」と思ったです。あのシーンの前でトミー・リー・ジョーンズが昔の同僚と会話をするシーンで「俺は神に見捨てられた」と言っているが、彼は知っている。本当は自分が神を”見捨てた”という事を。夢と言えば。ほぼ毎日煙草を喫う...



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