1998.2.23 (月)

日本画と油絵の違い  わたしは学校で日本画を専攻していた。つたない絵なのであまりわからないとは思うけど、やはり日本画の影響はわたしにとって大きい。日本画の何が好きかというと、画材。よく「日本画やってました」というと、「ああ、水墨画とか山水画?」といわれるのだが、それは少し違う。もちろん墨は使う。墨をするのは、とても楽しい。しっかりすっておかないと水で流れてしまうし、色も綺麗に出ない。墨は主に骨書き(こつがき)に使う。いわば輪郭線のようなものですね。
 日本画のデッサンは、洋画とは違ってあまり影をつけたりしない。説明がむずかしいけど、洋画のデッサンは主に形を立体的に捉えるのに対して、日本画は平面的。その違いに最初はとても戸惑った。だいたい受験用のデッサンなんかでは「かたまりをとらえなさい」なんてかんじで習うし。
 デッサンした下書きの上に和紙を重ねて、墨で骨書きをする。もちろん一発勝負である。長い線も(なるべく)一気に引かねばならない。和紙にはにじまないようにどうさ(みょうばんを溶いたもの)を引いておく。
 そして色をつけていくのだけど、普通の固形絵の具のような顔彩や、岩絵の具という砂のようなものを使う。砂状のものをどうやって定着させるかというと、膠(にかわ)を使う。お粥なんかを作る陶器の行平鍋でぐつぐつ煮ると、煮こごりのようなものが出来て、それを薄めて絵の具を溶くのである(関係ないけど、忘れててほっとくと黴が生えて腐ったりします)。
 岩絵の具の元になるのは、貝や石や、酸化鉄などのいろんな鉱物で、つまり天然のもの。今は合成された色も沢山あるけど、むかしは少ない色ですべてを表現してきたのだ。色を重ねたり、絵の具を焼いたり。
 あんまり真面目な生徒じゃなかったので(かなり不真面目な部類に入った)、エラソーなことは何ひとつ言えないけど、日本画をやってた時の膠や墨の匂いはとっても懐かしくて好きだ。

1998.2.22 (日)

小西さん  先日、ピチカートファイヴのビデオクリップ集「redymade TV volume two」を買った。ゴダールが映画館で見られて、ピチカートがビデオで買えるなんて、現代のわたしたちはなんて幸せなんだろう、なんて思ったりして。
 映画のオープニングタイトルの中で、わたしが多分一番好きなのはオードリー・ヘプバーンの「シャレード」なんだけど(他にももっとありそうなので”多分”)それに匹敵するぐらい、いやもっとカッコイイかもしれないオープニングにもう「うわーっ♪」と歓声が上がりました。ポリゴン小西にはちょっと笑ったけど。
 ピチカートで好きなアルバムは何?ともし訊ねられたら、悩むけど「ボサ・ノヴァ 2001」かも。通して聴くのが一番好きなアルバムです。
1998.2.20 金)

アンナ・カリーナ  渋谷へ「女は女である」を見に行った。アンナ・カリーナが最高だ。やっぱり。
 ライト、カメラ、アクション!
『だけどわたしは怒られたりしない、それはわたしが美しいから』
 青いアイシャドゥに赤いくちびる。赤いセーターに赤い網タイツ。ベレー帽。青いリボンの付いたキュートなビスチェ。
 おはなしは、なんてことないカップルのあれやこれや(繰り返されるケンカと仲直り)。女のワガママと男同士の怪しい友情。意地っ張りと横恋慕。とっても身近なおはなしでした。
 あのスタンドが欲しいなぁ〜・・・
女は女である
1998.2.16 (月)

 先日の上野の時の話。家族の人が神田の「まつや」というけっこう有名な蕎麦屋さんに行きたいと言い出した。理由が「こないだ行ったときに、サッポロの赤ラベルを置いてるのを見つけたから」という。「それはナニ?」と訊ねると、日本でちゃんとしたラガービールと呼べるビールはもうこれしかなくって(某メーカーのは、名前に入ってるけどラガー製法で作ったのではないそう、家族が言うには)レトロなラベルで、とってもめずらしいものらしい。いいよってコトで、秋葉原でJRを降りて、CDを買ったり、デジカメを見たり(欲しいのだった)してからてくてく歩いていく。相変わらず並んでいるけど蕎麦屋だし回転が早くてすぐ入れた。お目当てのサッポロ赤ラベルは大瓶だけみたいで、ふたりで焼き鳥を食べながらのんびり飲む。
 ビールの味はわたしはあんまりよく分からないけど、美味しかった。蕎麦屋でのむビールはうまいとよくエッセイなんかであるけど、ほんとそうだなぁと思った。そして胡麻蕎麦(だしが胡麻だれ)を食べた。

the man from Ipanema  秋葉原で買ったCDはアントニオ・カルロス・ジョビンの『The Man From Ipanema』という、ヴァーヴから出てる3枚組、ブックレットの中にCDが入ってて、見た瞬間に欲しいと思ってしまった(こういうのに相変わらず弱いわたし)。CDが入ってる紙のパッケージのデザインがかわいくて持ってるだけで嬉しい。

1998.2.14 (土)

 東京都美術館にテート・ギャラリー展を見に行く。
 16世紀から現代までというかなり大きく括った展覧会だった。まず入った一階の展示室は、16世紀のイギリス貴族の肖像画が並んでいて(犬の肖像画なんてのもあった)見ててもやっぱし、絵としては全然ツマラナイ。当時の風俗を知る価値はあるのかもだけど。
オフェーリア  混んでるし、さーっと流して二階へいくと、お目当てのミレーの「オフェーリア」があった。でも、ものすごい人だかり。みなさん、もーちょっと絵は離れて見ましょうよ、と思ったけど、まー間近で筆のタッチを見てうっとりしたいという質感重視な人もいるだろうしね・・・(でもブツブツ)。なんとか絵には近寄ったけど、でも全然全体的に見られない。すごい迫力のある美しい絵だなと思ったけれど。あとはターナーの絵なんかもあった。一見アブストラクトのようなんだけど、目を凝らしてみると難破船が見えてきたりする。モネは光を描くけど、ターナーはなんだろう、湿度のようなものが絵から感じられる。
上野公園の猫  二階は狭いし混んでるし、で三階にいくと、以外と空いている。そしてここがいちばん良かった。一番気に入ったのがサージェントの「カーネーション、ユリ、ユリ、バラ」という80号?ぐらいの絵。暖かい色調と気持ちの良い空間がぱあっと開けてて、ずっと見ていたくなるかんじ。好きな絵って、欲しくなったり、絵の中に入っていきたくなるように思えるものだけど、まさにそう思った。あとホックニーもあったけどじつはホックニーは印刷物になってるほうが好きだなぁ。そっちでなれちゃってるからかな。ウォーホールとかもそう思うんだけど。
 絵はがきを買って、となりでやってた盆栽展を上から眺めてちょっとなごむ。盆栽って見るとなんだか笑っちゃう。

 上野の公園はぽかぽかして、狂い咲きの桜の下でひなたぼっこの猫たちと遊ぶ。パンダ焼きを買って食べる。とってもいい休日だった。
パンダ焼き

1998.1.19 (火)

Portrait in Jazz  家族が最近急にジャズに凝りだした。わたしも もともとジャズはとてもスキなんだけど知識はそんなになくって、ただ気持ちよく聴いてるだけでかなりかたよったチョイスをしてるような気がする。
 好きなジャスのボーカリストは、サラ・ヴォーンとメル・トーメ。
 いちばん好きな楽器はヴァイブ。ミルト・ジャクソンとか(やっぱりかたよってるよーな・・・)
 冬の夜にはチェット・ベイカーの物憂げな声がいいな、とか、夏の暑い日には、MJQの『たそがれのヴェニス』とかマイルス・デイビスの『MILES AHEAD』を聴くと涼しげでヨイ、とかそういうかんじでジャズを聴いてます。
 で、買ってきてくれた『 Portrait in Jazz 』(和田誠&村上春樹)を読んで、ジャズについてしばし勉強をしてみた。カウント・ベイシーは可能な限り大きな音で風圧を感じながら聴いたほうがいい、というくだりを実践してみたらほんとに吹き飛ばされそうになって「おおおー」と思ったりしました。読んでると知らないものとか聴きたくなるんだけど、CDだと手に入らないものとかもあって、ちょっと残念。ちょっとずつ曲の入ったCD付きで発売してくれるとイーナーと思った。
1998.1.16 (金)

 CDウォークマンを買ってしまったので、帰省している間もCDを何枚か買った。ちょっとご紹介。 買ったCD
『CAPOT POINTU』MICHEL COLOMBIER
 これは京都のバージンで買った。友達と待ち合わせしてたんだけど、CDにスタッフの人が手書きで付けてる解説がおもしろくって読んでるだけで何枚も欲しくなってしまう。ものすごい知識のある人がたくさん働いているんだろうなぁと思うと、なんとなく頼もしいかんじ。
 これは、セルジュ・ゲーンズブールの『ジュテーム・モア・ノン・プリュ』(J・バーキンとのオリジナル版)の、アレンジをした人のCDらしくって誰やねん?と思いながらも買ってしまった。70年代風のヒッピーっぽいかんじかな、『ラララ・・・』とかスキャットものもあるんだけど、なんとなく日なたの匂いがするかんじ。天気のいい日に外でのんびり聴くといいかも。
『青空百景』ムーンライダーズ
 新品なのに 1000円引きで売ってて、なんだか不憫になって(?)買ってしまった。じつはあんまり好きなアルバムじゃないんだけど・・・『二十世紀鋼鉄の男』『くれない埠頭』が好き。
『東京的 Vol.1窪田晴男プロデュース
 レンタル屋の中古で 500円だった。一曲だけ、近田春夫と、かの香織がやってる『夜毎夫人』っていう曲がヨカッタ。まるで三島由紀夫のよろめきもののような歌詞がステキ。

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