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『電波男』やっとヨンダー

4861990025電波男
本田 透
三才ブックス 2005-03-12

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分厚い本なのに一気読みしてしまいました。ただの「モテないオタク」のルサンチマンではなく、恋愛資本主義やオタクの歴史についての分析も充実していてとても面白かった。
わたしは作者の本田透さんとほぼ同世代で「おたく」という言葉がない頃からおたくだったのです(そうそう、根暗族根暗族!)。ファーストガンダムがヒットした時、それまでオタク(当時はマニア)の主流はSFだったのだけどSF超大作映画『さよならジュピター 』によってSF陣営はさよならしてしまい…ってとこで爆笑しました。その後はSFに代わってアニメが主流になっていくという流れは丁度体験していたので。懐かしいなあ。それにしても『さよならジュピター』のDVDは出てるのな!しかもデラックス版で。

で、本田透さんの個人的な話としてはとても面白く読んだのですが、やっぱり一般論としてはどうなんだろう、と色々言いたいことがワーと頭の中をグルグルしました。
多分あちこちでも指摘されてるだろうけど、女がみんな「イケメンエリート」なら喜んで股を開くような恋愛資本主義に毒されてるわけじゃないよとか、オタク男だって腐女子はサベツしてるんじゃん!とか。

それで最大に言いたいことは、あんた母性のいいとこばっか欲しがりすぎ!ということ。この中でも「オタク男にギャーギャー文句を言う女ウゼー!」みたいな文章が沢山出てきますが、それも母性なんだって!女が好意を持った相手に行き過ぎたお節介を焼いてしまうのもコレ母性ですよ?そこを否定しながら母性的な包み込む「愛」だけを欲しがるのは少々身勝手が過ぎやしませんかと言いたい。物事には良い面も悪い面もある。

オタク男が自分の暗黒面を「萌え」という世界で放出しているように、女も買い物したりヨン様にキャーキャー言うことによってやっぱり暗黒面を放出してるんです。そこを否定して「女がオタクに合わせてメイド服着て掃除してくれればいいんだよ!」っていうのは女が「オタク男を脱オタクさせてイケメンにしてやるわ!」というのと同じ事を言ってるだけなんじゃないでしょうか。

ただ、本田さんが個人的にこのように「愛」を求めるようになったことについては読んでいてとてもよく分かる。でも同じように「イケメンエリートだけと恋愛したい」と主張する負け犬女にもそれぞれ個人的な事情があるのではないかなあ。男も女もお互いを一般論で斬り合っていては何も分からないのかもしれない。

この本は『負け犬の遠吠え』のアンサーとして書かれた本だそうですが、その意味では男性側の言いたいことをズバーと言い切った良い本だと思います。ここから男女ともお互いに色々な話を始めるといいんじゃないかなぁと思いました。おすすめ!
| 2005.06.05 Sunday 21:46 | Book | comments (0) | trackback (0) |

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