Rubber Brain Blog

映画は意外なほど普通に面白かったです。前評判で心配していたほど「ストーリーがめちゃくちゃ」「悪夢のよう」でもなく、というかストーリーがほとんど無いんですわ。ぐにょぐにょしてたしかに狂ってる世界ではあるんだけど、基本明るくてほんわかしてます。でもぐにょにょしてます。千と千尋のくされ神の入浴シーンみたいなんが延々と続いたり、ポニョの妹たちとか巨大な海母とかかなりキモ怖かったり。でも子供たちは身を乗り出して観てました。
ポニョの体の変化が子供たちに一番大ウケしていて、特に最初に蛙の足が出るところが一番良かった、と娘は言っていました。いっそのこと蛙顔ポニョで全部やっても子供は喜ぶと思ったり（蛙やナメクジやミミズ好きなうちの8歳の娘だけか…？）。
わたしはぽんぽん船での旅のシーンが好きです。死後の世界のような静けさがイイ。カオナシと千尋が電車に乗るシーンを思い出しました（このシーンすごく好き）。

みんなこの映画についてはあれこれ言いたくなるようで（それって良い映画だからだと思うんだけどねえ、ボロクソ言われるっていうのも含めて）わたしも難癖をつけようとすれば、宮崎監督が「理屈なんかいらんのじゃ！」と気合を入れて作った割にはなんだか理屈っぽさが見え隠れして気になりました。アートアニメ系にはなりきれないというか…エンタメ的な統合性がどうしても必要だったのかなぁと。「説明がされてない」と言われてるけど、フジモトがめっちゃ説明的な台詞を言うところがあるし（人間の血でDNAが〜！とか月が落ちてくる〜！とか）、それこそ「魔法」っていうこと自体が不思議なことに説明をつけようとしてこさえられた概念をそのまま持ってきてる感があってちょっと残念。そういう説明的理屈的なものをフジモトだけにしょわせて、だからフジモトは顔色が悪く嫌われたままポツンとしていたのかもしれないけど。
宮崎監督には同じような路線でもっと遠慮せずハッチャケたのを作って欲しいです。
いまだに「カリオストロの城のようなのを…」とかゆーてるロートルオタクは相手にせんでいいですよ。
（カリ城はもちろん大好きですが、そんなことを永遠に言われるのは作家としてイヤだと思うんで）

あと「避難勧告が出てるのに家に戻るとはなんという母親」というイチャモンを読んだけど、あの時点では避難勧告は出てない・少なくともリサは知っていないですよ。ひまわりの家を出るときに「今ならまだうちに帰れるよ」と声をかけられてるんですよね。帰ってからテレビのニュースを見て避難勧告を知ったのだと思います。「避難勧告が出てなくたって状況見りゃわかるだろ！」という突っ込みはアリだろうけど、「避難勧告」についてだけ気になったので一応。
なぜ危険を冒して戻ったのかといえば崖の上の家が灯台もかねているからだろうし、船の上にいる夫のためにも帰りたかったんだろうなぁと思うのでわたしはそこは全然違和感は感じなかったです。

わたしが違和感を感じたのは、後半なぜポニョはずっと寝てるのか、それが不思議でした（このことにふれた感想をネットでは今のところ見かけないけど…）。監督がポニョを動かしようが無かったのでは…？と邪推してるんですが。メイがトトロの腹の上で眠るようなシーンが何度も出てくるんですよね。洪水で魔力を使いすぎて、ということなんだろうけど…せっかくのヒロインが後半寝っぱなしってどうなんだろう。
それと船の上の赤ん坊連れの夫婦と会うシーンはやっぱりものすごく奇妙で浮いたシーンでだと思いました。あれはなんなんだろうか。なぜあのシーンを入れたんだろうなぁ…。

終わって座席が明るくなって前を覗くと、ウチの6歳の息子がぽろぽろ泣いていて、隣に座ってた友達の子が「息子くん最後ずっと泣いとったで！」と教えてくれて、「どーしたん？こわかった？」ときくと「ううん」と首を横に振り、娘が「感動したんだよね」というと「うん」とうなづいていました。
そうか、6歳の男の子の君が泣けるほど感動したんなら良かったよ…と思いました。
親のわたしは「フジモト萌え〜」とか言ってたんですが…ははは。いやマジで正直所ジョージの声はどうかなとは思いましたが、マッドサイエンティスト萌え属性だからさぁ！ジョニー・デップが演じそう。というか演じてほしいような役なんですもん。萌えるわ…。

■追記
崖の上のポニョが神過ぎた件：ハムスター速報　２ろぐ
このスレでの考察が面白かったです！